離 婚 に つ い て
2007.3.
弁護士 石 田 文 三
結婚とは、生まれも育ちも違い、性格も異なる男女が、いっしょに暮らし、そのうえ子どもの養育というある面では苦役でもあることを協同するものです。このように考えれば、別れる(離婚する)のが当たり前とも言えるわけで、日本でも、離婚率が上昇したと言われます(人口1000人当たり2件強)。そうは言っても、ほとんどのカップルが離婚しないで頑張っている(あるいは我慢している?)わけで、それはなぜなのか。「生まれることも/死ぬことも/人間への何かの遠い復讐かも知れない/と嵯峨さんはしたためた/確かに/それゆえ、男と女は/その復讐が永続するための/一組みの罠というほかない/私は、しかし/妻に重さがあると知って驚いた若い日の/甘美な困惑の中を今もさ迷う/多分と、と私は思う/遠い復讐とは別の起源をもつ/遠い餞けがあったのだと」(吉野弘「妻に」)と詩人は言いますが、離婚がもたらす、経済的な打撃、精神的重圧の苛酷さが、離婚に踏み切りにくくしていことも事実です。
特別に資産があるような場合は別にして、普通は、夫婦が収入ギリギリ、あるいは若干の蓄えができる程度の生活をしているもので、つまり、その男女の収入で一つの家庭を維持するのに精一杯という状況にあるわけです。離婚となると、同じ収入で二つの家庭を維持することになるわけですから、このことひとつをとってみても、どれほど大きな困難が伴うか、容易に想像できるところです。さらに子どもがいれば、その子どもを夫婦のいずれが養育するか、面会をどうするか、子どもの心に及ぼす負担をどうすれば軽くできるかなどなど、とても簡単には解決できない問題が起こります。
私は、離婚の相談を受けるたびに、まず、離婚が法的にどのように処理されるものかを説明します。@離婚によって、財産分与が認められますが、これは結婚後に作り上げた財産を半分づつにするのが原則です、Aたとえば不倫するなど離婚の原因を作った側は慰謝料を支払う義務がありますが、ただ、慰謝料額はさほど多額ではありません、B子どもをどちらが養育するか(親権者)を決めなければならず、養育しない側も収入に応じて養育費を支払わなければなりません、C養育しない側にも子どもとの面会を認めるのが原則です、というようなことです。ご主人の不倫に悩んで相談に来られた若いお母さんは、私の説明を聞いて、「結婚して2年足らずで貯金もありません、1歳にもならない子どもを抱えて、これからどうやって生活していけばいいのでしょうか」と肩を落とされました。私とて、いい知恵があるわけではなく、その方の話を一生懸命聞いて、離婚によるマイナス面を理解したうえで、それでも離婚を進めるか、他に適切な手段はないのかを話し合うことしかできませんでした。その結果、離婚することを選択される方もありますし、もう一度考え直してみると言われる方もあります。私は20年ほど前に弁護士になったのですが、そのころ、不幸な結婚を続けるよりも、離婚して新しい人生を始めるほうがよい、子どもためにも離婚を選択すべきだと言われていました。しかし、離婚というのは、結構、大変なものだというのが現在の実感です。

